別訳【井上円了】外道哲学
イントロダクション
2006.7.16
インドには、少なくとも、お釈迦様が生まれる4000年以上前から、実にたくさんの哲学思想が存在した。
現在の「仏教」は、既存の他流派を総合した上で「ルネッサンス」を実施したもであるにもかかわらず、それら既存の諸学説を「外道」と名づけてハナから度外視している仏教家の姿勢には、学問上の欠点があると言わざるを得ない。
仏教以外の教えを「外道」と名づけるのであれば、儒教、道教は「中国の外道」、キリスト教は「西洋の外道」だ。
ところが、仏教の中にも「外道」とされるものがあるのだという。
「これはいったいどういうことなのか?」と問うと、「他教ではあっても利益があるなら「正法」で、仏教でも利益がないなら「外道」なのだ」とのこと。
それなら尚のこと、「異説だから」などと言ってスルーするのではなく、幅広い哲学思想に触れてみるべきではないのか?
「外道」研究、それはつまり、仏教哲学の世界への「入り口」なのだ。