東西の古典を、きわめて平易な現代語に訳出する試みです。
意によって大幅に構成を改編し、読みやすくするために潤色を施しています。

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超訳【碧巌録】

第80話(抄) 生まれたばかりの赤ん坊

2006.9.6

古人、道を学び養いてここに到る。これを無功の功という。嬰児とおなじなり。

原文:古人學道養到這裏、謂之無功之功、與嬰兒一般

日々努力して、ついに「道」の真髄を極めることができたような人がいたとしましょうか。
そのような状態は、「無功の功」と呼ばれています。
なんというか、生まれたばかりの赤ん坊のような状態のことですね。

生まれたての赤ん坊は、目が開いていたとしても何も見ていないようなものですし、耳は聞こえているみたいですが、まぁ何も聞いていないのと同じです。

でも、そうであるからこそ、長いとか短いとかはもちろん、善いとか悪いとか、得たとか失ったとか、名誉だとか不名誉だとか、ハッピーだとかアンハッピーだとか、ありとあらゆる外からくるものごとに心を動かされることはありません。

分け隔てなく、取ることも捨てることもしない。
まさに「無心」の境地です。

この境地に至ることができたなら、もはや誰にもジャマされず、いつでもどこでも自由自在にその力を思いっきり発揮することができるハズ。

この世に存在するありとあらゆるものがそのお陰をこうむることができ、しかも尽きることがないでしょう。

もしも「悟りを得よう」などと思うのであれば、このぐらいの境地を目指すのでなければダメです。

いいですか皆さん、よくこんなことを言う人がいます。

  1. 生まれたばかりの赤ん坊は、単に無知無能なだけだ。
  2. その点、私はたくさんの経典を学び、修行を重ねてきた。
  3. だから赤ん坊なんかより私の方が断然物事をよく知っているし、理解もしている!

・・・まぁ、なんとお気の毒に。(苦笑)
こういう人は、まるでわかっていないのです。

その人が自慢しているものは、世の中で暮らしていく中でこびりついた垢やホコリみたいなものであり、まさに「煩悩の正体」と呼ぶべきものなのだということが。

「聖」だとか「凡」だとか、そんなもの全くどうでもいいことです。
キチガイといわれようが愚か者といわれようが、一切気にする必要はありません。

そのぐらいの気持ちになれたなら、自由自在に生きたり死んだりできるハズです。
龍も虎も、そんな人の足元にひれ伏すことでしょう。

「無功の功」とは、つまりそういうことです。

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