超訳【金剛経】
第7話 教えない、教わらない (無得無説分)
2008.11.1
ブッダは続けて言いました。
「なぁ、スブーティ、オマエはどう思う?
もしも究極の悟りをひらいて真実と合体したような人がいたとしたら、その人は何かを知っているということになるのだろうか?
また、そんな人は皆に何かを教えてくれるのだろうか?」
スブーティは答えました。
「いいえ、そんなことはありません。
真実と合体したような人は、今さら「何かを知っている」とかいうようなことにはなりません。
ですから、当然のことですが、誰にも何も教えてなどくれやしません。
なぜかといえば、究極の悟り=真実とは、「教え」ではなく、「教え」でないものでもないからです。
そのようなものは、認識のしようもなく、説明のしようもないからです。
究極の悟りをひらいた人は、「真実」以上でも以下でもなく、ただ「真実」そのものなのです。
教えるとか教えないとかの域は、とっくに超越してしまっているのです。
・・・と、以前あなたから聞かされましたが。」