東西の古典を、きわめて平易な現代語に訳出する試みです。
意によって大幅に構成を改編し、読みやすくするために潤色を施しています。

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超訳【夢中問答】

第20話 自意識を捨てないと修行できないのか?

2011.1.10

足利直義:「しかし和尚様、自意識を捨て去るなどということは、そうそうできるものではありません。
もしも自意識を捨てずに修行すると全部「魔業」となってしまうというのであれば、我らは皆、仏教修行などできないということになってしまうように思うのですが・・・」

夢窓国師:「いやいや、そういう直線的な思考はやめてもらえんかな・・・

いいか?

人がやることには皆、結果の良し悪しがある。

そしてそれらは皆、やり方の良し悪しが影響しているのじゃ。

「やり方が悪いと失敗するから」といって、うまくやった時に得られるハズの利益まで放棄するのはアホのやることじゃ。

大きな功績を挙げた人がその後バッシングされているのを見て、「功績なんか挙げない方がいいんだ」などと考えてはいかん!

バッシングされるのは功績を挙げたからではなく、その人がそれでカンチガイしてしまったからなのじゃ。

で、あればじゃ。

人よりも早く昇進したり給料が増えたりした時に驕りたかぶる気持ちが起こったとしても、「いやいや、これこそ身を滅ぼすものだ!」と気づいて謙虚な気持ちを忘れることなく、より一層業務に邁進するべきなのじゃ。

そうすれば、ただその人ひとりのためになるばかりでななく、会社全体、いや社会全体に無限大の利益をおよぼすことになるのじゃから。

仏教でも同じことじゃ。

「仏教修行して魔道に入った人がいる」と聞いてビビッてやめてしまうというのでは、いつまでたっても心の安らぎなど得られない。

どんな宗派であれ、仏教修行のうちで高慢な考えを起こしたとしたなら、魔道に入ることから逃れることはできない。

だからといって、まったく止めてしまうとしたならば、魔道に入るまでもなく、ただちに地獄・餓鬼・畜生の世界をぐるぐる巡る無限ループに絡めとられてしまう。

もう一度言うぞ。

魔道に入るのは、仏教修行のせいではない。

修行者がカンチガイを起こすからなのじゃ。


オマエの言うとおり、聖人でもない限り、誰だって皆、自意識を捨てきることなどできやせん。

ただ、そういう気持ちが起こったとき、「ああ、危ない!魔業の入口だ!」と気づいて引き返すことができればよいのじゃ。

また、ちょっとやそっと智慧が進んだからといって一知半解を振りかざしたりしなければよいのじゃ。

逆に、全然理解が進まないからといってウンザリしてやめてしまったりせず、実直に努力し続けることじゃ。

そうすれば必ず、人がそれぞれ本来持っているハズの潜在能力が全開となるときがきて、ただその人ひとりが幸せになるだけではなく、周囲の人、さらには全世界に対する利益も無限大となるのじゃから。

そして、それが達成できたとしたならば、それまで自分を悩ませるばかりだと思っていた天魔や外道たちは皆、自分の修行を助ける仲間だったということがわかるハズじゃ。

維摩のオッサンが「あらゆる悪魔や外道たち、彼らは皆、私の従者じゃ!」などと言ったのは、つまりそういうことなのじゃ!」

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