東西の古典を、きわめて平易な現代語に訳出する試みです。
意によって大幅に構成を改編し、読みやすくするために潤色を施しています。

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超訳【夢中問答】

第21話 座禅すると気が狂う!?

2011.1.10

足利直義:「なるほど、そういうものなんですね・・・
そういえば和尚様、「座禅修行中に発狂してしまう人がいる」という噂を聞いて、ビビッて座禅しない人が増えているいう話を耳にしました。
その噂は本当なんでしょうか?」

夢窓国師:「うん、結論から言うと、それは事実じゃ。そういうことは確かにある。
ただ、だからといってビビッてしまうというのは、そいつが単にビビり根性の持ち主であるというだけのことじゃ。

座禅はもちろん仏教修行は一切せずに俗世間のことばかりやった挙句に発狂する人だっているじゃろう。

なぜ、それを見て、「俗世間のことばかりやっていると発狂しちゃうんだ!」といってビビらないのじゃ?

座禅で頭がおかしくなるというのはじゃな、例えば以下のような場合じゃ。

普段何も考えたことがないようなバカは、今さら発狂しない。

座禅修行でものごとを深く考える練習を積むと、なんだか自分がとても賢くなったような気がしてくるものじゃ。

そこで前に話したようなカンチガイが発生し、魔につけこまれて発狂する。

あるいは、これまでに犯してきた罪の深さに気づいてしまって発狂することもある。

また、「とにかく一刻も早く悟りを得よう」などと欲張ってムリした挙句、ホルモンバランスに異常をきたして発狂することもある。

ともかく、全部ほかにハッキリとした理由のあることじゃ。座禅そのもののせいではない。

そして、ここが大事なポイントなのじゃが、そういった「狂乱」は皆、本来は一時的なものに過ぎないということを忘れてはいけない。

ジタバタしなければ、必ずじきに収まるのじゃ。収まればまた、元どおり修行できるようになる。

ビビッてしまって座禅をしないというのであれば、永遠に地獄に入ったままじゃ。

そんなことにも気がつかないというのであれば、これこそ本物の気狂いじゃ。

座禅をすると発狂することがあるのを恐れるのではなく、発狂することがあるからといって座禅することをビビる気持ちが起こることこそ、恐れるべきなのではないかな?」

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