東西の古典を、きわめて平易な現代語に訳出する試みです。
意によって大幅に構成を改編し、読みやすくするために潤色を施しています。

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超訳【維摩経】

第3話 モッガラーナ

2006.11.29

一番弟子のシャーリプトラに断られた世尊は、二番弟子のモッガラーナ(目連)に言いました。

「じゃあ、モッガラーナ、お前が維摩の見舞いにいってきなさい。」

血相を変えて言い訳を始めるモッガラーナ。

「え?私ですか?!
いや、そのなんと申しますか、維摩とはちょっと色々ありまして・・・
以前、私がこのヴァイシャーリーの街角で、たくさんのお金持ちを集めて説法をしていた時のことなんですが、ヤツがいきなりやってきて難クセをつけ始めたんですよ。
「あー、ダメじゃダメじゃ!そんなやり方では全然ダメじゃ!!
「説法」というからには、お前さんは「法」を説こうとしているのだと思うが、そもそも「法」とは何じゃ?
「法」は生き物ではない。生死とは離れているからじゃ。
「法」は人格主体を持たない。過去未来と断絶しているからじゃ。
「法」は文字ではない。言語を超えたものだからじゃ。
「法」はかたちがなく、虚空のようなものじゃ。
「法」は「空」であるが故に議論の対象ともならないのじゃ。
「法」は美醜といった概念を離れ、増えることも減ることもないのじゃ。
「法」は生じることも滅することもなく、帰っていくところもないのじゃ。
「法」は一切の分別を超えたものなのじゃ。
どうじゃな?そんな「法」をお前さんはいったいどうやって「説く」つもりなんじゃ?
「法」とは説いたり説かれたりするものではなく、示されたり得たりするものでもないのじゃぞ!
「法を説く」とは、いうなれば幻術士が自分で作り出した幻の人に対して説得を試みるようなものじゃ。
そこのところをよく理解して「説法」するのでなければ、まったくダメじゃ!」
とかなんとか、凄い剣幕でまくし立てられてしまいまして・・・
で、私が集めた金持ちの聴衆は、すっかり維摩の弁舌に聞き惚れてしまったりして、もう私のメンツは丸つぶれでした。
申し訳ありません。誰か私でない他の人に頼んでください。」

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