東西の古典を、きわめて平易な現代語に訳出する試みです。
意によって大幅に構成を改編し、読みやすくするために潤色を施しています。

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超訳【維摩経】

第4話 マハーカッサパ

2006.11.30

二番弟子のモッガラーナ(目連)にも断られた世尊は、教団最年長でリーダー格でもあるマハーカッサパ(摩訶迦葉)に言いました。

「じゃあ、マハーカッサパ、お前が維摩の見舞いにいってやっておくれ。」

マハーカッサパは、沈痛な面持ちで答えました。

「ああ、世尊よ、まことに申し訳ありませんが、お役に立てません。
あれはかなり前のことなのですが、私がある貧しい村で托鉢乞食修行をしていた時のことです。
出し抜けに維摩さんが現れ、こう言ったのです。
「おいおいカッサパさんよ。お前さんともあろう人格者が、いったい何を血迷っているんじゃ?
あんたは元々大富豪の家に生まれたのに、それをなげうって出家したのじゃろう?
なのに今度は貧乏人からせびり取ろうというのかい?
そいつは大きな心得違いってやつじゃ!
そもそも「托鉢乞食の行」は何のためじゃ?
ひとつには「食欲」を克服するため。
また「何ものをも受け取らない」という教えの実践のため。
そして「一切のものに施す」修行のためじゃろう?
よく聞きなさい。世の中の全てのものは「実体」を持たない。
いまさら生じないのと同様に、もはや滅びることもないのじゃ。
人がものを食べるのは、煩悩があるからでもなければ、煩悩を離れたからでもない。
俗世間に留まるのではなく、また涅槃に入るのでもない。
このことがよく理解できたなら、施したからといって特別にハッピーなことがあるわけでもなく、役に立つわけでもなく、かといって損をするわけでもない、ということがわかるハズじゃ。
そのぐらいの心がけを持って、托鉢乞食の行を続けなされ!!」
と。
私はそれを聞いて、心の底から感動し、世の中にはなんと素晴らしい人物がいるものだ、と思い知ったのです。
それからというもの、私は「ただ一方的に教えを聞くだけ」とか「誰の言うことにも耳を貸さない」とかいった極端な修行法を一切捨て、人にも勧めないことにしています。
そういった経緯があるので、私にはその役目を務める資格がないと思うのです。」

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