東西の古典を、きわめて平易な現代語に訳出する試みです。
意によって大幅に構成を改編し、読みやすくするために潤色を施しています。

updated 2021-12-07

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超訳【維摩経】

第5話 スブーティ

2006.11.30


教団最年長でリーダー格でもあるマハーカッサパ(摩訶迦葉)にも断られた世尊は、般若心経で説かれているいわゆる「空」の理論を最も良く理解していると評判の秀才スブーティ(須菩提)に言いました。
「しょうがないなぁ。じゃ、スブーティ、お前に頼もう。」
スブーティは、苦渋に満ちた表情で答えました。
「うーん、維摩ですか・・・
実は私、彼の家に托鉢に行ったことがあるんですよ。
維摩は私のさしだしたドンブリにご飯を特盛りにしてくれました。
そこまではよかったのですが、さぁ食べようとしますと、彼がこんなことを言い始めたのです。
「お若いの、まぁ聞きなさい。
食べ物を食べるという点だけとってみれば、全ての人間は等しいといえるじゃろう?
食べ物について等しいのだから、その他いろいろな事柄についてもやはり等しいのじゃよ。
煩悩を絶つことができていなくても、迷いを滅ぼすことができなくても、そのままの状態で解脱することが可能だということがわかるかな?
良いことがあるのでもないのでもなく、凡人でもなく聖人でもなく、真理を見るのでも見ないのでもないということを良く理解して、食事をするようにしなさい。
もしあなたがブッダと出会わなかったとして、あの6人の外道の師匠に従っていたとするなら、彼らが堕ちてゆくところへ共に堕ち、そこで食事をするべきなのじゃ。
もしも悪魔と手を組んで、法をバカにして一切の人たちと敵対するような人物になりきれたなら、そこで食事をしてもよいということになるのじゃ。」
・・・私はこれを聞いた時、あまりの意味不明さにゾッとして、なんだか気味が悪くなったので、ドンブリには手をつけないで立ち上がるとそのまま逃げ帰ろうとしたのです。
すると維摩は言いました。
「これこれ、お前さんいったい何をビビッとるんじゃ!
例えば幻術によって作り出された幻の人が今のセリフを言ったのだとしたら、それでもお前さんはそのようにビビるかね?」
私は「いや、そんなことはないかも・・・」と答えました。
維摩はさらに言いました。
「じゃろ?全てのことは幻みたいなものなんじゃよ。
そしてそれはつまり、「解脱とはこの世の中の現象全てのことにほかならない」という意味なんじゃ。」
維摩がこの言葉を語ると、周囲にいた200人のこどもたちが、全て悟りを得てしまいました。
そんな人をいったいどうやって見舞ったらよいというのですか・・・」

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