東西の古典を、きわめて平易な現代語に訳出する試みです。
意によって大幅に構成を改編し、読みやすくするために潤色を施しています。

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超訳【維摩経】

第12話 弥勒菩薩

2006.12.15

500人もいる人間の弟子たち全員に断られたブッダは、それぞれに悟りを得て「人間」の限界を超越することに成功している菩薩たちに話をふりました。

最初に声をかけられたのは弥勒菩薩です。

弥勒菩薩(マイトレーヤ)は、ブッダの死後、どうしようもなく堕落してしまうことが確実な人間どもを全員確実に救済する使命が与えられている、菩薩の中のエースです。

現在は「兜卒天」という世界で修行中で、全人類を救済できるだけのパワーが蓄積されるまで、あと56億7千万年かかるということになっています。
(兜卒天における彼の寿命が4000年であることを算出根拠としています。兜卒天での1日は、我々の世界の4000年に相当するため、4,000x4,000x360=5,760,000,000となります)
※ちなみに、太陽の質量と核融合反応の速度から求めた「太陽の余命」は、およそ50億年であり、それとの関連が噂されたりもしています。

「弥勒菩薩!お前が行きなさい!」

弥勒菩薩は言いました。

「いやぁ、それはちょっとキビシイですね・・・
実はこの間、私が修行している兜卒天まで維摩のオッサンがインネンをつけに来たんですよ。
人がせっかくみんなの為にと思って修行しているのに、こんなことを言うんです。
「こらこらお前さん、お前さんは確か「この世界(天)であと一度だけ輪廻を繰り返せば、究極の悟りパワーをゲットできる」と世尊が予言してくれたとか言っているのじゃよな?
はい、ここで質問です。
お前さんはその予言を、いったいいつ受けたのじゃな?
過去にかな?未来にかな?それとも現在にかな?
もし、「過去だ」というのであれば、その過去はもう滅びてしまっているし、「未来だ」というのであれば、その未来はまだやってきていないので、どちらの場合でも予言を受けることはできないハズじゃ。
それじゃあ「現在だ」と言いたいところじゃろうが、現在なんてものは一刻も留まることなく移り変わってしまうものじゃ。
そんなとらえどころのないタイミングで予言を受けられるハズがない。
おかしいじゃないか!
他にも聞きたいことがある。
「悟りをゲット」できる予定だということじゃが、どこかよそからもってくることができるような「悟り」は存在しない、というのが我らの「お約束」だったハズじゃよな?
「あらゆる事柄は、発生もしないし消滅もしない。真理とは、ただあるがままの姿のことである」というのが我らの教理の基本中の基本じゃ。
それなのにお前さんは「悟りをゲット」するなどと言う。
いったいどこからどんな「悟り」を、どうやってゲットするつもりなんじゃ?!
そもそも、「万物は全てひとつである」という究極の境地に立ってみれば、「私はあなたであり、あなたは私である」ということになるハズじゃ。
従って、もしお前さんが「悟りをゲット」できるというのであれば、全ての者たちもまた同じことができるということになる。
なにもお前さん一人が「皆の救済者」だということにはならないのじゃないかな?
ホレ、なんとか言ってみろ!オラオラオラ!!」
・・・私も一応菩薩の端くれですので、個人的な恨みとかは持たないようにしようとは思っているのですが、ちょっと私だけで彼のところに行くというのは、どうかご勘弁願います。」

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