超訳【維摩経】
第22話 維摩、自慢話をし続ける
2007.1.26
呆気にとられている大衆を前に、維摩の自慢話は続きます。
「この「不可思議解脱」パワーを得た者にとってはな、この大宇宙のどんな空間であろうとも自在に切り取ることなど朝飯前じゃ!
陶工が粘土の一部を切り取るようなもんじゃ。
しかも、宇宙空間の一部を片手でヒョイとつかみあげて、360x10の42乗光年の彼方へ放り投げても、その中にいる者たちは自分がそんなことになっているなどとは夢にも思わないのじゃ。
で、次の瞬間にはサクッと元通りにできるのじゃが、一部始終は誰にも気づかれず、何事もなかったかのようなのじゃ。
また、「長生きしたい!」と願う者があれば、そいつの7日間を43億年以上に引き伸ばし、「早くこの世からおさらばしたい!」と願う者があれば、そいつの43億年を7日間に短縮してやることだってできる。
この世界に存在している空気を全て吸い込んでしまうことだってできるし、この世界が最終的に滅びる時に現れる大火の全てを飲み込んでしまうことだってできる。
またこの「不可思議解脱」パワーを得たものは、変身だって自由自在じゃ!
ある時は仏、ある時は修行者、またある時は帝釈天、はたまたこの世の全ての人類の王、何になることだってできる。
・・・とまぁ、まだまだあるのじゃが、それを全部数え上げたら、それこそ43億年かかったって終わらないくらいじゃ!」
それを聞いたマハーカッサパは、シャーリプトラに言いました。
「この御仁の言うことのベラボウなことときたらもうビックリだねぇ・・・
ただ、ワシらがこの御仁のいうことが「トンデモ」に聞こえてしまうというのは、ワシらがまだまだ低レベルだからなんだろうな。
いわば、生まれつき眼の見えない人に向かってカラフルな映像を示してみたところでサッパリ理解してもらえないようなものか・・・
これはそれぐらい図抜けて素晴らしいことだ。
これをマスターしたなら、どんな悪魔にだって勝てるだろう!
ああ、それに引き換え、ワシらのイケてないことといったら・・・」
以下のメニューバーをクリック⇒ ジャンルごとに開閉 |
---|
画面左上の「超訳文庫」ロゴマークをクリック ⇒ 超訳文庫トップページへ戻る |
メニュー上下の横長バーの「HOME」をクリック ⇒ 各コーナートップページに戻る |
中国武術家である徐紀(Adam Hsu)老師の論文をご紹介。
古典翻訳ではない、自作の文章を掲載します。「超訳文庫」の趣旨から外れますが、ご容赦くださいませ。
超訳文庫のコンテンツを書籍化して頒布する企画です。
PC画面もいいけれど、じっくり読むにはやっぱり「本」がよいという方にオススメです。
目に優しく手ざわりのよい書籍用紙を使用。A5サイズです。
編集はもとより印刷・製本に至るまで完全に自家製ですので、仕上がりは工業製品には劣りますが、「手作りの味」だと思っていただければ幸いです。
超訳文庫の書籍化・通販などを手がける奇特集団、「ぶんちん堂」スタッフによる活動の記録やお知らせ。
当サイト管理者のぶんのすけも「作家」として登場します。