東西の古典を、きわめて平易な現代語に訳出する試みです。
意によって大幅に構成を改編し、読みやすくするために潤色を施しています。

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超訳【維摩経】

第39話 菩薩たちの意見発表2

2007.8.19

菩薩たちの「発表会」は続きます。

菩薩11:「「出家すること」と「出家しないこと」、この2つこそが最も根本的な対立です。
そこを突きつめて研究した結果、私は「そもそも「家」なるものは存在しない」のだということを知りました。
前提としての「家」が存在しない以上、「入る」とか「出る」とかいう議論は成立しません。
「入る」のではなく、「入らない」のでもない。
「出る」のではなく、「出ない」のでもない。
「行く」のではなく、「行かない」のでもない。
これこそ「絶対」の境地です!」

菩薩12:「「輪廻転生」と「涅槃」、この2つこそが最も根本的な対立です。
そこを突きつめて研究した結果、私は「「生」と「死」は、実は同じものであり、かつ、存在するのでも存在しないのでもない」ということを知りました。
言い換えれば「生死の区別は存在しない」ということです。
「生死が存在しない」以上、「束縛」も「解脱」も有り得ません。
つまり、「輪廻転生」を脱した時、「涅槃」の境地もまた消滅するのです。
これこそ「絶対」の境地です!」

菩薩13:「「尽きる」ことと「尽きない」こと、この2つこそが最も根本的な対立です。
そこを突きつめて研究した結果、私は「尽きるものは尽きず、尽きないものは尽きる」ということを知りました。
何故ならば、もし「尽きる」ものが全て尽きてしまうならば、「尽きる」ということも尽きてしまうからです。
つまり、「尽きる」ことが極まった状態こそが、「尽きない」状態なのです。
また、一般に「尽きない」と考えられているものをつぶさに見ると、それらは実は、一瞬で「尽きる」ものが連続しているのに過ぎないことがわかります。
つまり、「尽きない」ものはその本質において「尽きる」のです。
これこそ「絶対」の境地です!」

菩薩14:「「我」と「無我」、この2つこそが最も根本的な対立です。
そこを突きつめて研究した結果、私は「「我」も「無我」も存在しない」ということを知りました。
いわゆる「自意識」を成立させているものを「我」と呼ぶわけですが、その正体を見たものは誰もいません。
視聴覚などの5感は「我」そのものではありません。
意識も「我」そのものではありません。
意識を成立させているといわれる末那識(まなしき)も、末那識の元といわれる阿頼耶識(あらやしき)も、決して「我」そのものではありません。
つまり、「我」など得られないのです。
「我」が得られないのに、「無我」が得られるわけがありません。
従って、「我」と「無我」は対立しません。
これこそ「絶対」の境地です!」

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