東西の古典を、きわめて平易な現代語に訳出する試みです。
意によって大幅に構成を改編し、読みやすくするために潤色を施しています。

HOME > 第41話 維摩、ビシッとまとめる

超訳【維摩経】

第41話 維摩、ビシッとまとめる

2007.9.24

菩薩たちの「発表会」は続きます。

菩薩19:「「闇」と「光」、この2つこそが最も根本的な対立です。
そこを突きつめて研究した結果、私は「「光」があるところにのみ、「闇」がある」のだということを知りました。
「闇」とはつまり、「光」があたっていないというだけのことだからです。
もし「光」が全ての「闇」を滅ぼす時がおとずれたなら、その時こそ、まさに「光」も滅び去ります。
「闇」がなければ「光」はその存在を示すことができなくなるからです。
これこそ「絶対」の境地です!」

菩薩20:「いわゆる「涅槃」と「輪廻(転生)」、この2つこそが最も根本的な対立です。
そこを突きつめて研究した結果、私は「「涅槃」と「輪廻」は対立するどころか、実はどちらも存在しない」ということを知りました。
「輪廻」とは、イヤになるくらい何度も何度もこの世に生まれてきてしまって苦労が尽きないということだと定義されています。
そして「涅槃」とはそのような束縛から逃れ、解脱することができた状態だと定義されています。
でも、考えてもみてください。
「現世の束縛」なんて、本当にあるのでしょうか?
自縄自縛という言葉がありますが、実は皆、誰にも頼まれないのに自分で自分を縛り上げておいて、勝手に苦しんでいるだけなのではないでしょうか?
もしそうだとするならば、その「束縛」は元からあったものではないということになります。
仮にそのことに気づいて自分を縛ることをやめたとしましょう。
それは決して「解脱」などという大層なものではなく、単に自分を縛り始める前の「元の状態に戻った」だけに過ぎません。
「束縛」が存在しないところに「解脱」は存在できません。
現世をイヤがる気持ちがなくなった時、「涅槃」などを求める気持ちは消え失せます。
これこそ「絶対」の境地です!」

このように、菩薩たちはそれぞれの研究成果を発表し終わると、リーダーである文殊菩薩に話を戻しました。

菩薩一同:「文殊、最後はあなたの番ですよ!ビシッと総括お願いします。」

文殊:「フム、よろしい。
それでは私の考えを聞かせてあげましょう。
ありとあらゆることがらの真実の姿は、
「言葉にできない」
「説明できない」
「示せない」
「知ることもできない」
「問答や研究の対象とすることができない」
これこそ「絶対」の境地です!!

・・・維摩さん、なんだかすっかり話が長くなっちまいましたが、我々の意見はまぁ、こんなところです。

さぁ、今度はあなたの番です。

究極の「絶対」の境地ってヤツを教えてくださいな。」


維摩:「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


文殊:「す、すばらしい!すばらしすぎる!!

さらに「文字にもできない」し「言語にもならない」。

完璧です!完璧すぎます・・・

あなたのその無言の境地、それこそがまさに、究極の「絶対」の境地です!!」

このやりとりを目撃した5000人の菩薩たちは、一斉に維摩居士にひれ伏しました。

メニューの使い方

以下のメニューバーをクリック⇒ ジャンルごとに開閉
画面左上の「超訳文庫」ロゴマークをクリック ⇒ 超訳文庫トップページへ戻る
メニュー上下の横長バーの「HOME」をクリック ⇒ 各コーナートップページに戻る


↓それでは、どうぞごゆっくり。

仏教系

中国の古代思想

昔の中国の人が考えたこと

諸子百家

LinkIconおもしろ論語(孔子)
LinkIcon老子
LinkIcon荘子
LinkIcon列子
LinkIcon孟子

四書五経

LinkIcon【大学】

日本の哲学・思想

日本が誇る大学者のご意見たち。
今のところ、明治維新期に活躍した人がメインです。
LinkIcon井上円了
LinkIcon【西国立志編】
LinkIcon富永仲基
LinkIcon内藤湖南
LinkIcon【風姿花伝】sintyaku3_red.gif

キリスト教系

キリストが生まれるよりも昔から、「神」と人との間にはいろいろあったのです・・・

旧約聖書

LinkIcon【旧約の預言者たち】

中国武術論

中国武術家である徐紀(Adam Hsu)老師の論文をご紹介。
LinkIcon【中国武術論】

ぶんのすけ文集

古典翻訳ではない、自作の文章を掲載します。「超訳文庫」の趣旨から外れますが、ご容赦くださいませ。
LinkIconぶんのすけ文集

書籍版のお求めはこちら

LinkIconぶんちん堂 Web Shop

超訳文庫のコンテンツを書籍化して頒布する企画です。
PC画面もいいけれど、じっくり読むにはやっぱり「本」がよいという方にオススメです。
目に優しく手ざわりのよい書籍用紙を使用。A5サイズです。
編集はもとより印刷・製本に至るまで完全に自家製ですので、仕上がりは工業製品には劣りますが、「手作りの味」だと思っていただければ幸いです。

ぶんちん堂 Web Shop 公式ブログ

LinkIconぶんちん堂 Web Shop 公式ブログ

超訳文庫の書籍化・通販などを手がける奇特集団、「ぶんちん堂」スタッフによる活動の記録やお知らせ。
当サイト管理者のぶんのすけも「作家」として登場します。