東西の古典を、きわめて平易な現代語に訳出する試みです。
意によって大幅に構成を改編し、読みやすくするために潤色を施しています。

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超訳【維摩経】

第42話 維摩、極上のランチを紹介する

2007.9.29

その時、菩薩たちと維摩のやりとりを聞いていたシャーリプトラ(舎利佛)は、ふと思いました。

「だからオッサンたち、話が長いっちゅーの!
挙句に小芝居まで始めやがって。
ホンマにワケわからん連中やで・・・

そういや俺ら、朝から何も食べてないやん。
今何時だ?・・・えっ!もう昼?!

ああ、腹へった・・・

こんなに長くかかるんだったら弁当を持ってくればよかったよ。

みんなも手ぶらだよなぁ・・・

金持ちの維摩のオッサンにご馳走してもらいたいところだけど、この部屋、スッカラカンだし、何も準備されていないようだからだめだなぁ・・・

うおー腹へった!何か食いてー!!」

維摩はその雑念をすかさず感知すると、シャーリプトラを指さして言いました。

「はい、そこ!
お前さんはどうしてそう雑念が多いのじゃ?!

ブッダはそんなことをしろと言わなかったハズじゃ。
情けないとは思わんか?

そんなにメシが食いたいなら食わしてやるから、ちょっと待っておれ!」

そう言い終わると、維摩は意識を内面に集中し始めました。

すると、なんということでしょう!

居並ぶ全員の脳内に、ハッキリとあるビジョンが浮かびました。

そこはどこかわからないのですが、今まで想像したこともないような、とてつもなく素晴らしいところのようです。

やたらとゴージャスな御殿の中に、威厳に満ちた仏様がいて、大勢の立派な菩薩たちに教えを説いています。

しかも、その世界には「匂い」以外のものが存在しないのです。

つまり、地面も樹木も建物も、菩薩や仏様すらも、「匂い」のみで構成されているのです。

故に、眼で見ることはできませんし、耳で聞くこともできません。

それでも、「匂い」によって、その世界の素晴らしさをあますことなく知ることができるのでした。

そして、皆は「匂い」で知りました。

どうやらその世界の住人たちは、全員で食事を始めたようです。

耐えられないほどよい匂いがします・・・

皆が呆然としていると、維摩は言いました。

「さてと、実は今オマエさんたちが経験しているのはな、我々の頭上360x10の42乗光年をさらに42倍した彼方にある「衆香」と呼ばれる世界の姿なのじゃ。

この世界の王は「香積」という名の仏でな。

そこにはな、この世に存在するどんな香りよりもよい匂いが、ずっとたちこめているのじゃ。

その世界には、もはや人間は存在しない。

菩薩未満の存在は、そこでは有り得ないのじゃ。

どうじゃ?うまそうな匂いがするじゃろう。

この世界の食事は、サイコーじゃぞ!!

食べてみたいじゃろう?

さて、誰かあそこへ行って、ちょっくら食べ物をもらってきてくれないかな。

・・・さぁ、どうした?
腹がへっておるのじゃろう?」

皆が押し黙っていると、維摩は続けて言いました。

「なんじゃなんじゃ、だらしのないヤツらめ!!」

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