超訳【維摩経】
第47話 仏の指導方法あれこれ
2007.12.1
維摩はアチラ側からきた菩薩に質問しました。
「ところで、そちらの世界の仏である香積如来さんは、いったいどのようにして皆を指導しておるのじゃな?」
菩薩は答えました。
「はい、我らが香積如来は、皆を指導するにあたって文字や言葉を使うということがありません。
ただ匂い、ひたすら匂いだけを使って、皆を完璧に指導しているのです。
香積如来が操る絶妙の匂いをちょこっと嗅いだだけで、誰しもが、菩薩になるための基本的な修行をコンプリートしたのと同等の精神状態になることができます。
そしてその瞬間から、菩薩が駆使することができるあらゆるミラクルパワーが利用可能となるのです。」
菩薩は維摩に質問しました。
「ところで、そちらの世界の仏であるシャカムニさんは、いったいどのようにして皆を指導しておられるのでしょうか?」
維摩は答えました。
「ふむ、こちらの世界の仏の指導は、かなり厳しいやり方をするのじゃ。
「地獄へ落ちるぞ!」「畜生に生まれ変わるぞ!」「バカになるぞ!」とか、「オマエに良くないことばかりが起こるのは、全部オマエ自身がしでかした悪事の報いだ!」とか、「オマエはヨクバリだ!だから必ず悪いことが起こるだろう!」とか、「オマエはウソツキだ!そのうち必ずバチが当たるぞ!」などの激しい言葉を罵倒せんばかりに叩きつけ、それでようやく皆に言うことをきかせているのじゃ。
何故そんなことをするのか、と思うじゃろう?
それはな、この世界の人間たちが、実はとてつもなく強い心の持ち主だからじゃ。
充分に試練に耐えることができる者ばかりだからじゃ。
・・・などというと聞こえはいいが、ようするにどうしょうもないガンコものばかりというわけじゃな。
例えば象や馬が暴れ狂っている時に優しく話しかけてもまるでムダで、ビシバシと倒れるまで打ちのめした後、ようやく調教が可能になるようなもんじゃ。
強い者には強い言葉と態度。
それでようやく指導が成り立つようになるのじゃ。」
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