東西の古典を、きわめて平易な現代語に訳出する試みです。
意によって大幅に構成を改編し、読みやすくするために潤色を施しています。

updated 2022-06-20

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超訳【維摩経】

第53話 なにもかもが「仏」

2007.12.12

世尊(お釈迦様)は続けて言いました。
「また、ある世界では、夢のような、幻のような、響きのような、鏡の中の像のような、水面に映る月のような、たちのぼる陽炎のような・・・などという「たとえ」が仏のハタラキをなしとげる。
ある世界では、音、ことば、文字が仏のハタラキをなしとげる。
言わない、説かない、示さない、意識しない、やらないことによって仏のハタラキをなしとげることもある。
わかるかな?
あれもこれもどれもそれも、世の中の全ての「ものごと」や「できごと」で、仏のハタラキをしないものは何ひとつとしてないのだよ。
皆が苦しめられている、あの4種の悪魔と8万4千種にもおよぶ煩悩。
仏のハタラキというものは、まさにそこにあるのだ!
これを私は「なにもかもが仏」の境地と名づける。
この境地に達した者は、天国に行けたからといって特にありがたがることもなく、地獄に落ちたからといって特にがっかりすることもなくなる。
何ごとが起ころうとも、ただひたすら清らかな心持ちで慎み深く、感謝の気持ちを忘れなくなるのだ。
「仏のハタラキ」自体はひとつしかないのだが、生命のあるもの全てを導くために様々な形をとって現れる。
「ある」という状態にはいろいろあるが、「ない」という状態はひとつしかないだろう?
それと同じように、見た目は色々でも、内に秘められた無限の智慧は、ただ1種類なのだよ。
この世には、姿かたち、血すじ、得意な分野、行動パターン、弁舌のテクニックなどが、様々に異なる人たちがいるわけだが、仏のハタラキを持つ限りにおいて、その人たちの間には何の優劣もない。
ただ1種類なのだ!」

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