東西の古典を、きわめて平易な現代語に訳出する試みです。
意によって大幅に構成を改編し、読みやすくするために潤色を施しています。

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超訳【祖堂集】

祖堂集メモ(2)落浦和尚・経賢和尚・黄山和尚・湧泉和尚・南際和尚・九峯和尚

2012.1.28

◆大衆雲集

問う、大衆雲集す、師意如何ん。
師云く、開拳して旧宝を明らめ、握手して今時を謝す。

Q:「先生、たくさんの学生が集まりましたが、この後どうするつもりですか?」
A:「ビンタして思い知らせ、握手して仲直りさ。(笑)」

◆青山常運歩

問う、不思議の処に行到する時如何ん。
師云く、青山は常に歩を運び、白月は輪を移さず。

Q:「思いがけない境遇に置かれた時はどうしたらよいのでしょうか?」
A:「自分の骨を埋めることになる場所は、こちらの思いなどとは全く無関係にあちらこちらと動きまわるものだ。
夜出歩く時は月を見失わないように気をつけろ!」

●経賢和尚
◆沙門行

問う、如何なるか是れ沙門行。
師云く、海を過ぐるに打船せず。

Q:「熱心な学生の取るべき態度というのは、どんなものなのでしょうか?」
A:「海を渡る時は船を使うな!」
A(別訳):学んだことがそのまま世間で通用することなどないということを肝に命じ、ちゃんと自分の頭で考えて行動しろ!

●黄山和尚
◆天暁鶏自鳴

問う、如何にしてか本来の面目を見ることを得る。
師云く、古鏡を懸くるを労せず。天暁には鶏自から鳴く。

Q:「いったいどうしたら「本当の自分」を見つけることができるのでしょうか?」
A:「怪しげな講習会や診断などに頼る必要はまったくないぞ。
その時がくれば、黙っていてもわかるハズなのだから。」

●湧泉和尚
◆千日不得鎖

問う、如何なるか是れ氷中の水。
師云く、霜を凌いで結不成。
如何なるか是れ水中の氷。
師云く、六月にも曽って融けず。
僧曰く、与摩ならば則ち千日も鎖かし得ざるなり。
師云く、二鼠の往来は他に関わらず。

Q:「あたかも凍りついた湖の底にも凍らない部分があるように、その道を極めてしまってもなおチャレンジ精神を失わないような人とは、いったいどんな人なのでしょうか?」
A:「どんな過酷な状況下でも決してへこたれないような人だよ。」
Q:「それでは逆に、あたかも決して凍ることのない海に浮かぶ氷山のように、キビシイ状況にさらされつづけても決して信念を曲げないような人とは、いったいどんな人なのでしょうか?」
A:「真夏の太陽でも溶かせやしない、ってヤツさ。」
Q:「なるほど! 太陽が1000個あっても溶かせない、ってヤツですね?」
A:「というか、そんな人にとっては、もはや太陽なんてどうでもいいのさ。もちろん、月もね。」

●南際和尚
◆千聖位中不陪位

僧問う、千聖位中、還た陪位せざる者有りや。
師云く、有り。
進んで曰く、如何なるか是れ陪位せざる者。
師云く、明明たり是れ竜の鱗を帯びざること、明明たり是れ牛の角を載せざること。還た会するや。
対して曰く、会せず。
師云く、歩行して水に入るも深さを知らず。海底の竜宮虚しく模車す。

Q:「伝説の聖人たちや歴代の偉人たちのマネなんてしたくない! ・・・というような人はいるのでしょうかね?」
A:「もちろん、いるさ。」
Q:「マジですか!? そりゃいったい、どんな人なのでしょう?」
A:「鱗のない竜、あるいは角のない牛みたいな人だよ。・・・わかるかい?」
Q:「チンプンカンプンです・・・(泣)」
A:「波打ち際で水遊びしているクセに、海の本当の深さを知らないとは・・・
竜宮城などタダのお伽話だと思っているようなヤツには、これ以上何を言ってもムダだな。」

●九峯和尚
◆流泉是命

師云く、諸兄弟、還た命を識り得たるや。
命を識らんと欲せば、流泉これ命なり。湛寂是れ身なり。
千波競い湧く是れ文殊の境界、一亘の晴空是れ普賢の床灌。
其の次に一句子を借るは是れ指月、中に於ける事は是れ話月。従上の宗門中の事は節度使の信旗の如し。
且らく諸方及び先徳の未だ如計多の名目を建立して指陳する已前の如き、諸兄弟は什摩の躰格に約して商量せん。
這裏に到りて、三寸を仮らずして試みに話会し看よ。耳根を仮らずして試みに声を聞き看よ。眼根を仮らずして試みに弁白し看よ。
所以に道う、声前に抛不出、句後に形を蔵せずと。
尽乾坤都来是れ蓑当人の个の躰なり。
什摩処に向ってか眼耳鼻舌を安かん。
但だ意根下に向いて図度して、想を作し解を作すこと莫れ。
未来際を尽くすも亦未だ休歇の分有らざらん。
所以に古人道う、心意を将て玄宗を学ばんと擬するは、西行せんとして却って東に向うが状似し、と。

九峯和尚は言いました。
「おい、オマエら! 生命とはいったいどんなものだか知っているか?
知らなければ教えてやろう。生命とは湧き出る泉、それが流れ出てできた水たまりがオマエの身体なのだ。
泉も水たまりも激しく波打っている、それが文殊菩薩の世界。
見あげればスカっと晴れ渡る青空、それが普賢菩薩の世界だ。
テキスト化された教えは、いわば月を指し示す指のようなもの。
こういった講義は、いわば月について口で説明しているようなもの。
日常の行事は手旗信号みたいなもんだ。
先輩がたがアレコレとマニュアルを残してくれてはいるが、それを読んだだけで身につけられると思ったら大間違いだ!
そら、口を使わずにしゃべってみろ! 耳を使わないでワシの話を聞いてみろ! 真実を見抜くのに眼に頼るんじゃない!
・・・まぁ、そうは言ってみたところで、口に出す前のことなど他人にわかるハズがないし、口に出した言葉はそのまま消えていくだけなのだがな。
つまるところ、この世のすべては自分そのものなのだ。いまさら見るとか聞くとかの必要などあるわけがない。
頼むから、つまらない理屈を立てて議論のための議論にふけることだけはしないでもらいたい。
そんなやり方では、時間が無限にあったとしても絶対に何の結論も出せやしないのだから。
ワシの先輩はかつて言ったよ。「理屈やフィーリングで理解しようとしてはいけない。それはまるで、西に行くために東に向って歩き出すようなもんだ。」、とな。

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