超訳【維摩経】
第30話 維摩、カットインする
2007.3.11
シャーリプトラは言いました。
「・・・えーっとですね、貴女はそう言いますが、確かブッダはこうおっしゃったハズですよ。
「ガンジス河の砂粒の数ほどの人々が、既に悟りを得た、今まさに悟っている、これから悟ることになるであろう」って。
これはいったいどういうことなんですかね?」
天女は答えました。
「ああ、それね。
それはレベルの低い人たちに説明する便宜上、持ち出しただけの話なのよ。(笑)
本来、「悟り」には現在も過去も未来もないわ。
で、お兄さんはそれを得ているのかしら?」
シャーリプトラ:「もちろんですよ!
「何も得ることはできない」という「究極の悟り」をね。」
天女:「そうそう。全ての仏や菩薩たちもそれと同じよ。
「何も得られない」ということを得ているの!」
維摩居士は、天女とシャーリプトラのやりとりを黙って聞いていましたが、ここでようやく口を開きました。
「シャーリプトラよ、この天女はな、92億の仏の供養をコンプリートして、超能力をゲットしたのじゃよ。
そのぐらいのレベルになると、もはや全ての願いは叶っており、輪廻転生の無限ループからも離脱できているのじゃ。
だから、もはや「何も生まれない」し、「何も得ることはない」ということになっておる。
じゃあ、なんでこんなところで遊んどるのか、と思うじゃろ?
それはな、純粋に彼女の趣味じゃよ。(笑)
彼女はお前さんみたいなヤツをおちょくるのが大好きなのじゃ。」
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