別訳【華厳経】
2500年以上昔、インドのとある街に善財童子と呼ばれる少年(16歳ぐらい?)がおりました。
彼はインド財界を支配する組合の理事長の息子であり、お金に一切不自由しないのはもちろんのこと、日々、最先端の情報に接し、当時の最高の教育を受け、青春を謳歌していました。
彼がちょこっとアゴを動かしただけで自由に操れる子分は、500人以上いたということですから、それはもう大変な羽振りのよさです。
ところがある時のこと、彼は巡回説法にやってきた文殊菩薩の口車に乗せられ、たった一人で南インドに向かって修行の旅に出るハメになってしまいました。
文殊菩薩はこう言って善財くんを送り出したといいます。
「なぁ、オボッチャン。
「最高の悟りを得てみせる」というその心意気は立派だけど、言うだけだったら誰にだってできるぜ。
もし本気でそう思っているのだったら、旅に出なよ。
世の中は広い。いろんな人たちがいる。
たくさんの人たちと出会い、別れ、その中から「最高の悟り」をつかみ取って来い!
で、命があったら、また会おうじゃないか。」
引っ込みがつかずに家を出るハメになった善財くんは、あちらこちらを彷徨いながら、当時評判の「立派な人」に関する口コミ情報を集めては、実際に突撃訪問する日々を送ります。
修行僧や行者、仙人のたぐいはもちろん、国王、商人、大金持ち、熟練工、少年、少女、南方のドラヴィダ人、スラムの住人など、片っ端から会いまくる毎日・・・
2008-10-04
用語解説:華厳(けごん)、善財(ぜんざい)