別訳【夢中問答集】
「夢中問答集」とは、室町時代が始まってすぐの頃(1342年)に出版された足利直義(ただよし)と夢窓国師による問答集です。
足利直義とは室町幕府をひらいた足利尊氏の弟、夢窓国師とは京都の天龍寺を始め数々の庭園設計でも知られる超有名な禅僧のことなのですが、原典を初めて読んだとき、歴史上の人物の思想上のホンネがここまで赤裸々に記されているということに感銘を受けました。
ひとことで言うならこの書物は、悩める副将軍であった足利直義の直球勝負の質問に対して夢窓国師がいろいろな角度から回答したものを記した「Q&A集」なのですが、対話が進むにつれて内容が深化していくその様は、ソクラテスとその弟子による対話(ディアロゴス)を彷彿とさせます。
足利直義の切実な質問は実に九十三度におよび、夢窓国師はその都度、仏教思想を駆使して「真実の法門」を開こうとします。
「夢」とは何か? そしてその中で交わされる問答とはいったい? そして夢窓国師が開く「真実の法門」とは何か!?
室町時代のディアロゴスの軌跡が、七百年後の今に甦る!