別訳【老子】
第1話 ディープ・インサイド
2007.6.30
「皆が通るべき「道」があるという。
まぁ、ワシもそこから外れるわけにはいかなかったりしているわけなのじゃが、道は「道」などと呼んだが最後、もう踏み外していると考えた方がよいな。
何故ならば、「道」はそんな固定概念からは遠く離れたものであるからじゃ。
例えばお前さんは、いったい何を指して「名」と呼ぶかね?
まぁ、「いや、あれもこれも、いろんな「名前」がありますが?・・・」とか言うのが精一杯のところじゃろう。
うん、悪くない。
それで構わないのじゃ。
「名」は「名」という言葉に過ぎないのであって、何か特定の物や事柄に対してのみ与えられるものではないからじゃ。
天と地すらわかれていない段階において、「名」などと呼ばれる固有ないし一般名詞が成立したと思うかね?
もし、「名」などというものがあるのだとするなら、それはまぁ、あとあとになって、便宜上くっつけただけのことであって、本質とは何の関わりもないと考えた方がよいとワシは思うぞ。
だから、というわけではないが、アレコレとコマゴマした欲望を抱けば世界を外から見ることができるが、そういったものを全て捨て去ってしまえば、世界を内から見ることができる、とかなんとか、ワシは言ってみちゃったりするわけじゃ。
世界を外から見ようが内から見ようが、「世界」を見ていることに何の違いもないわけなのじゃが、ここはひとつ、ディープ・インサイドをのぞいてみようじゃないか。
インサイド・オブ・インサイド、まさにここから全ての物や事柄が生み出されているという、その場所を!!」
原文
道可道、非常道、
名可名、非常名、
无名天地之始、有名萬物之母、
故常无欲、以觀其妙、常有欲、以觀其徼、
此兩者、同出而異名、同謂之玄、
玄之又玄、衆妙之門、