別訳【祖堂集】
祖堂集(そどうしゅう)は、南唐の頃(西暦952年)に編まれたと伝えられる禅宗の書物です。
ゴータマ・ブッダ出現までの、いわゆる「過去七仏」から、それ以降ダルマ大師までのインド人伝承者27人(西天二十七祖)、中国伝来以降の伝承者6人(東土六祖)、そして分派後の各派において特にキャラが立っていた禅師たちのエピソードが紹介されています。
一般にこの手の「エピソード集」としては景徳元年(西暦1004年)に編まれた「伝灯録」がポピュラーですが、それよりもさらに50年ほど古いことになりますので、「最古の禅史」といってもよいかと思います。
「伝灯録」が大蔵経に収められて広く長く人々に知られることになったのに対し、この「祖堂集」は中国ではすぐに廃れてしまい、なぜか300年後に朝鮮で復刻されたにもかかわらず、印刷・流通した形跡がまるでない「幻の本」となってしまったらしく、さらに700年近く経った大正期の版木調査によって改めて内容が判明したという経緯があります。
書物がたどった数奇な運命はともかく、ここに生き生きと描かれている禅師たちのシュールな言動を、皆様と一緒に楽しめればと思い、謹んで超訳する次第です。
2009.2.13