東西の古典を、きわめて平易な現代語に訳出する試みです。
意によって大幅に構成を改編し、読みやすくするために潤色を施しています。

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ぶんのすけ文集

【夢魔の書】コードB07

2006.6.24

尋常ではない身体能力を身につけた私は、特殊任務遂行のため、夕闇迫る京都の町を疾走していた。

今回の任務、それは、日本を再び世界大戦の主役としようとする「悪の組織」による陰謀を未然に阻止することである。

普通の民家に擬装しているというアジトの位置情報をつかみ、単身、潜入工作を実施する。

ふと夕焼け空を見上げると、何やら異形のものが眼に入った。

最初は山に帰るカラスの群れかと思ったのだが、もっと大型である。

眼を凝らして見つめると、首も嘴も異常に長く、胴も大きい。

「翼竜・・・?」

なるほど、ここは岡崎近くである。
奴らは鵺(ヌエ)を甦らせることに成功したのか。

もう一刻の猶予もならない。
速やかに阻止しなければ!

木々や民家の軒先を飛ぶように移動し、いよいよ敵のアジトのある民家に辿り着く。

窓の外に張り付き、気づかれないように慎重に這い進む。

「やぁ先輩!何やってるんすか!?」

と素っ頓狂な声に振り向くと、大学時代のサークルの後輩(17年下の現役会長。防衛庁に就職志望)が、嬉しそうに窓から首を出してこちらを見ている。

なんと!後輩の下宿の隣室が敵のアジトか!

身振りで静かにするように伝えると、今回の差し迫った事態を伝える。

私が去ったあとも隣室の気配を窺うように指示し、何かあったらケータイに連絡するよう依頼する。

敵のアジトと思しき部屋に、窓から踏み込むが、そこは既にもぬけのからであった。

手遅れか?

部屋に残された手がかりを探り、起死回生の妙手を思いつく。

彼らの作戦というのはこうだ。

  • 先の世界大戦の時、戦死したと思われていた数々の有能な将校たちは、実は彼らによって、極秘のうちに、ある場所に集められ、当時の最高の技術を駆使して半死半生の状態のまま保存されている。
  • 彼らを完全に生きた人間として復活させるための鍵となる技術の開発を進め、その過程で発見した方法により、古代の生物を甦らせ、意のままに操る兵器とする。
  • 復活させた古代の生物を完全にコントロールするためには、復活させた将校たちの力が必要なのだが、その将校たちを生かし続けるためには、また別の技術が必要である。

つまり、彼らがまだ最後の技術、つまり生き返った死者を動かし続けるための技術を開発する前に、保存されている将校たちを目覚めさせてしまえばよいのだ。

彼らは復活し、活動を開始するだろうが、その活動を保持する技術が開発されていなければ、すぐにでも崩れ去ってしまう筈だ。

そうすれば、敵は決め手を失うことになり、我々の勝利だ。

探索の結果、遂にほとんどミイラ化した将校たちが安置されている場所を発見、侵入する。

彼らを甦らせる方法、それは、あるキーワードを彼らに聞かせればよいのである。

将校たちは皆、イヤホンをつけているので、中央のマイクで一言キーワードを伝えればよいはず。

私はマイクのスイッチを入れると、こう言った。

「作戦コードB07。繰り返す。作戦コードB07。総員、速やかに配置につけ。」

将校のミイラたちは、ぞろっと身体を起こすと、そのまま八方に別れ、いずこともなく去っていった。

そして恐らくは、配置につく前に崩れ去ることであろう。

とりあえず、一段落だ。

・・・と一息ついていると、ケータイに着信がきた。

先ほどの後輩からである。

例のアジトから、残党と思しき男たちが数人、凄い勢いで飛び出していったとのこと。

彼からの情報を元に後を追う。

リゾート風のホテル内で彼らを発見。
散々追いかけっこをした挙句、ある窓から外に飛び出していった。

後を追うべく窓から身を乗り出し、しばし沈黙。

・・・マジかよ。

とっくに夜は明けており、外は抜けるような青空が広がっている。

そして、その窓はホテルの最上階近く(40階ぐらい?)であり、眼下遥かにプールの水面が青く揺れている。

・・・私は高所恐怖症なのである。

しかし、良く見ると、数人の頭と水しぶきが見えるので、彼らは間違いなく、ここから飛び込んだのだ。

ええい、ままよ!!

身を宙に躍らせる。

途中で一旦気を失ってしまったようだが、着水すると同時に正気に戻り、敵を探す。

見ると、アクアラングを装着し、さらに深みへと向かっている穴に逃げ込もうとしているところではないか。

全力で潜って追いつくと、彼らのアクアラングのパイプを外してやった。

溜まらず浮上する彼らにつかまって水上まで行き、やっと一息。

周囲は既に我々のメンバーが包囲している。

一件落着か?

やれやれ・・・

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