東西の古典を、きわめて平易な現代語に訳出する試みです。
意によって大幅に構成を改編し、読みやすくするために潤色を施しています。

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超訳【井上円了】妖怪学

【妖怪学】運気について

2005.12.5

第4純正哲学部門第三講占考編23節「運気考」より。

天気予報ぐらいならまだしも、自然現象を見てそれを人間の吉凶に当てはめようとするなんて、バカ野郎にもほどがある。
「水」にあたる年には洪水がおこり、「火」に当たる年には火災がおこるというような類の占いは、無理がありすぎて、どうしてこんなものを信じてしまう人がいるのかと思うほどである。(毎週必ず水曜日は雨で、日曜日は晴れて、火曜日は暖かい、というようなものだからだ)

どうしてこんなことが古来まかり通っているのか?
この間、ダチの三上参次くんも『天則』誌で書いていたが、我が国民は古事記・日本書紀の時代から実に迷信深い連中であったのだが、漢字と仏教が伝来するに至って、そのシステムに感銘を受けるあまり、例え話まで真に受けてしまい、それを引き継いだ学者たちの脳に染みついてしまったことは間違いない。

仏教が広まるに従って、色々な偶然を全部これにこじつけてしまい、もうどこから突っ込んでいいかわからないほどトチ狂ってしまったのである。(平安時代なんて、連日、上から下まで祈祷・まじないに明け暮れていたことはご存じの通り)

だいたい、頭の悪い連中が、儒教・仏教をきちんと学びもせずに都合の良いところだけ取り出して、それに妄想をくっつけまくったものなんて、ロクなもんじゃない。
孔子が「怪力乱心を語らず」と言ったのは、まさにこれを諫めたものなんだ。

そもそも儒教が、「天」が善悪を判断し、人間に賞罰を下せるかのごとく説いたと理解されているのが間違いだ。
善悪の応報は、晴れたり曇ったりとかの自然現象に現れるのではなく、人の心の中、すなわち内界においてこそ現れるのである。
善いことをすれば、気持ちが良いし、悪いことをすれば、落ち着かず苦しい思いをする。これを「良心の賞罰」と呼ぶ。

「占いにすがろう」などと考えるという段階で、既にその人の心は正常ではなくなっているのだよ。

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