好雪ひらひら
【夢魔の書】The Judgement
2006.3.3
深まりゆく夕闇の中、
銃声をまばらに聞きながら、破壊された街区を疾走する。
ビルの一室に立てこもっている仲間と合流した。
随分と人数が減ったようだ。
皆、目をギラつかせてはいるものの、疲労の色は隠せない。
我らを追っているのは、帽子を目深にかぶり、サングラスをしたロングコート姿の男だ。
ちょっと前までは、彼も普通の人間であった。
酒場を切り盛りする人のいいオッサンだったのである。
だが、ある事件が彼をすっかり変えてしまった。
町が破壊され、店も家族も失い死線を彷徨った彼は、意識が戻ると同時に恩人の死も知った。
それ以来、彼は悲しみや怒りなどの感情が極まると、頭頂部全体が発光し周囲を焼き尽くすという人間兵器となってしまったのだ。
有効な攻撃手段を見つけられていない我々は防戦一方となり、すっかり追いつめられてしまったというわけである。
バリケードの瓦礫が崩れ落ち、男が姿を現した。
奴だ!!
無駄とは知りながらも一斉に銃を向ける。
男の帽子がちぎれ飛び、周囲がまばゆい光に包まれる。
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中国武術家である徐紀(Adam Hsu)老師の論文をご紹介。
【中国武術論】
作家による古典翻訳以外の文章です。
夢日記、怪奇体験、食べ歩き、随筆等、バラエティに富んだ独自のワールドをお楽しみくださいませ。
好雪片片
霞が関官庁街の食堂めぐり記録です。
2002~2003年の取材内容を元に書かれています。