東西の古典を、きわめて平易な現代語に訳出する試みです。
意によって大幅に構成を改編し、読みやすくするために潤色を施しています。

updated 2022-06-12

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ぶんのすけ文集

【夢魔の書】ウルムルトゥにて

2006.7.29

ウルムルトゥは、古代都市の遺跡。
今や完全なる廃墟であり、往時の栄華はもはや見る影もない。
アルト・カルマ(別名アルト・ウルム)と呼ばれる墳墓を発掘すると、たくさんの遺骸が見つかった。
皆、一様に、口から紐のようなものが垂れている。
調査の結果、彼らの胃から、緑がかった自然石が発見された。
口から出ていた紐は、その石に結わえつけられていたのである。
私は更に調査を進め、ある仮説に辿り着いた。
それは以下のようなものである。
その昔、ウルムルトゥの男たちは、ある一定の年齢に達すると、一種の通過儀礼ともいうべき「厄落とし」の儀式を行なっていたと考えられる。
「厄年」の男たちは、ある種の緑石(種類不明。現在成分分析中)に紐を結びつけ、それを飲み込まなければならないのだ。
そして、そのままの状態で一定期間を過ごし、あらかじめ定められた祭日に、紐を引っ張って石を取り出し、アルト・カルマに捧げる習わしなのである。
飲み込む石のサイズは、自分で選ぶことができる。
その石が大きければ大きいほど、利益(りやく)が大きいとされるのだが、大き過ぎると取り出すことができないこともある。
石が取り出せなかった者は、生きたまま生贄として奉げられてしまうしきたりであり、先に出土した遺骸は、すなわちその生贄たちなのだ。

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