別訳【井上円了】外道哲学
こんな外道に気をつけろ!
2007.6.10
「楞厳経(りょうごんきょう)」より
***(十種外道論)*******
こら、アーナンダ、よく聞きなさい。
世の中には、スキあらばお前を騙してやろうという連中がウヨウヨいるんだ。
ボサっとしていたら、あっという間にやられちまうぜ。
参考までに10種類の「外道」のパターンを教えてやるから気をつけろ!
例えばこんなことを言うヤツだ。
「人類は太古の昔から生まれたり死んだりを繰り返してきた。
この世界が生まれる前に何があったのか?
・・・そんなこと、結局誰にもわかりはしない。
でも、何もわからなくても、人類はただ生まれたり死んだりし続けている。
・・・ようするに人類の存在には、何も意味なんてないんだ!
意味なく生まれ、意味なく死んでいく。
ただそれだけだ!!」
これを名づけて「意味なし外道(無因外道)」と呼ぶ。
また、似たようなのでこんなヤツもいる。
「鳥が鳥からしか生まれないのと同じように、人間は人間からしか生まれない。
カラスが黒いのは元からだし、白鳥が白いことは今さら言うまでもない。
人間は直立歩行するが、獣は四つんばいで歩く。
それが「自然」てヤツだからだ。
色の白いものは洗ったから白くなったのか?
黒いものは染めたから黒くなったのか?
違うだろ?!
白は元から白だし、黒は元から黒なんだ。
つまり、昔も今も、何も変わらないし変えることなんてできやしないんだよ!!
「悟り」を得られるだって?
バカ言ってんじゃねぇよ。
かつて得られなかったものが、これから得られたりするもんか。
百歩譲って、それが得られたとしたところで、結局世の中何も変えられやしないんだよ!!」
・・・こういうヤツを、「シラケ外道(立無因外道)」と呼ぶ。
アーナンダ、わかるかな?
(続く)