別訳【井上円了】
明治維新期を駆け抜けた大学者、井上円了博士。
当時社会現象となっていた「コックリさん」占いの正体を暴く論考を発表したことなどから、一部では「妖怪ハンター」と呼ばれたりもしているようですが、彼はその著作「妖怪学」の中でこう述べています。
「世間では私のことを「妖怪ハンター」などと呼んでいるようだが、そうではない。
なぜならば私は「この世は「妖怪」で構成されている」ということの証明に全力を傾けるような人物なのだから。(笑)
そういう意味では、むしろ「妖怪主義過激派」と呼ぶ方が正しいな。」
彼は"Philosophy"を「哲学」と超訳した西周らとともに、その学問体系を日本に紹介した元祖「哲学者」であり、また、哲学館(現東洋大学)を創設した教育者でもあり、日本全国のほとんどの市町村で巡回講演を実施した啓蒙運動家でもあり、鎖国が解けて間もない頃に南半球からヒマラヤ登頂までやってのけた大冒険家でもあり、当時いろいろあって意気消沈していた仏教者たちを勇気づけた宗教家でもあります。
多芸多才と膨大な知識と経験とに裏打ちされた、自信満々の立言の数々をお楽しみいただければ幸いです。
2009.2.7
別訳【井上円了】 目次
【妖怪学】