東西の古典を、きわめて平易な現代語に訳出する試みです。
意によって大幅に構成を改編し、読みやすくするために潤色を施しています。

updated 2022-06-18

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超訳【井上円了】妖怪学

【妖怪学】鴉鳴き、犬鳴き

2005.12.7

第4純正哲学部門第三講占考編26節「鴉鳴き、犬鳴き」より。

「人が死にそうになると、カラスが集まってきて鳴いたり、犬がもの悲しげに鳴いたりする。つまり動物には、人の死を予知する力があるのだ!」などと信じている輩がいるようだが、それはあまりにも短絡的過ぎる。

まず、物理的側面からこれを見てみよう。

暖かく晴れてすごしやすい天気であれば、病人の体調も安定し、カラスも犬もそれほど騒がない。

逆に、天気が次第に荒れてきて、うっとうしい感じになってきたら、健康な人だって調子が悪くなる。

病人が死ぬのはだいたいそんな時だ。
カラスも犬もそんな時はおとなしくしていない。

要するに、カラスや犬は天気に対して反応しているだけで、病人も天気によって体調を左右されているだけであって、人が死にそうだからカラスや犬が鳴いているわけではないと考えられる。

また、心理的側面からこれを見てみよう。

そもそもカラスや犬は、いつだって鳴いているのだが、普段は皆気にもとめない。

ところが、人が危篤に陥っていると、周囲の人は静かにしているので、妙にカラスや犬の鳴き声が耳につく。

おまけに冒頭のような迷信が幼少の頃から刷り込まれているものだから、病人のほうも「ああ、俺はもうダメだ・・・」とか余計に気落ちして、遂には本当に死んでしまったりするのだと考えられる。

とはいえ、動物や昆虫の中には、人間にはない特殊感覚がないとは言い切れない。
例えば、蟻が砂糖を、また雀が穀物を感知するのが度を越えて速やかであるようなのがそうだ。

ただし、それらは総じて物理的に説明可能な原因によるのである。そこを踏まえない世間一般の言慣わしは、あっという間にそのレベルを超えていってしまうので、ほとんどは迷信だといってよい。

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