別訳【金剛経】
第3話 すべてを救うために (大乗正宗分)
2008.10.19
ブッダは言いました。
「ああ、そうだったな。(笑)
それでは質問に答えよう。
スブーティ、よく聴きなさい。
我らはいったい、どのような生活態度をとり、どのような心構えで過ごすべきなのか?
それは例えばこんな感じだ。
私の使命とは何か?
それはこの世に生きとし生けるもののすべてを、「悩みなき永遠の平安」の境地に連れて行くことだ。
卵から生まれるもの、母親から直接生まれるもの、ジメジメしたところに発生するもの、また自ら分裂して増殖するもの、ぐねぐねと不定形なもの、直接眼で見ることができないほど微細なもの、意識を持って活動するもの、意識を持たずに活動するもの、意識を持つのでも持たないのでもなく活動するもの、その他もろもろの「生きもの」の全てが、私が救済すべき対象だということになっている。
ところがだ。
私が「それらのすべてを「悩みなき永遠の平安」の境地に連れていく」といっても、実際には私は、誰も、何も、どこにも連れてなど行きやしないのだ。
なぜか?
それはな、スブーティ。
我々は決して、「生きているもの」が存在する、などと考えてはならないからだ。
人は誰しも、「自分」がいる、「他人」がいる、「生きているもの」がいる、「個体」が存在する、などと思い込みがちだが、それらはすべて、誤りなのだ。