別訳【列子】
1-9 先生、疲れました・・・
2007.12.3
孔子の弟子の子貢(しこう)は、師匠の下でマジメに勉学を続けていましたが、休まずに続けたのでいささか疲れてきました。
子貢:「先生、ちょっと休憩したいのですが・・・」
孔子:「バカモン!人生に休憩などあるもんか!!」
子貢:「うーん、それを言われると返す言葉もありませんが・・・
しかし先生、それでは私はこの先ずーっと休めないということになるのでしょうか?」
孔子:「ワッハッハ!心配するな、そんなことはないよ。
ほら、アレをごらん。」
子貢:「・・・いや、何も見えませんが?」
孔子:「よく見てみろ!大きいのやら小さいのやら、丸いのやら四角いのやら、色々とあるじゃないか。」
子貢:「ああ、本当だ!・・・って先生、アレはお墓じゃないですか。(泣)」
孔子:「そうじゃよ。キミも近い将来、必ずあそこに入ることになる。
その時、思う存分ゆっくりと休憩したらいいよ。」
子貢:「むーん・・・(汗)。考えてみれば確かにそうですね・・・
アレがあるからこそ、「イイ人」はそこでゆっくり休めるし、「イヤな人」はそこで終わりにできるというわけですか・・・」
孔子:「そうじゃとも!やっとわかったようじゃな。
世間の人は皆「生は楽しくて老いることや死はイヤだ!」と思い込んでいるが、冷静に考えてみるならば、本当に苦しいのは「生」の方で、「老い」や「死」こそが気楽な安らぎであることがわかるじゃろう。
だから安心して勉学に励むがよいぞ!」