別訳【臨済録】オレ様の話を聞け!
臨済の喝(抄)
2011.5.15
臨済和尚の演説録。「示衆」より
※特に彼の得意技であった「喝」の雰囲気がわかるものを抜粋
修行僧:「私は仏教徒になるために出家しました」
臨済師:「何が出家じゃバカモノ! オマエは単に他人に対してカッコつけたいだけじゃないか。世間で有名な寺を選ぶところあたりにも、その俗物根性が丸出しになっている。オマエは確かに家を出たかも知れないが、そのまますぐに別の家に入っているのだ!」
修行僧:「ブッダは百千万億年という長い間修行を続けて究極の境地に到られた尊いお方です」
臨済師:「ウソをつくなバカモノ! ブッダことゴータマ・シッダルタは八十歳かそこらでクシナガラ郊外で野垂れ死にしたとワシは聞いている。ワシらと同じ普通の人間じゃないか!」
修行僧:「この苦しみの世界から脱出するために仏教を学ぶのです」
臨済師:「何が脱出じゃバカモノ! この世界以外にオマエが行けるところなどあるもんか! あるとしてもせいぜい地獄ぐらいじゃろう。そんなクダラナイことをするヒマがあったら、もっと真剣に日常と向き合わんか!」
修行僧:「仏様と同じ悟りを得るために仏教を学ぶのです」
臨済師:「だからそういう風に「仏」という言葉を使うなと言っておるじゃろう! 「仏」や「悟り」なんて言葉だけのことであり、実在などしやせん。「学ぶ」などと言うが、どうして「オマエは頭はひとつあれば充分」ということが理解出来ないのじゃ!」