東西の古典を、きわめて平易な現代語に訳出する試みです。
意によって大幅に構成を改編し、読みやすくするために潤色を施しています。
※超訳文庫は好雪文庫に名称変更しました。【タイトル変更のお知らせ】

updated 2023-01-25

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別訳【祖堂集】

太鼓がドーン!

2008.11.3

 
ある時のことです。
 
道吾和尚は新入生がやってくるというので、お堂で待機していました。
 
新入生がお堂に入ってくるなり、和尚は太鼓を「ドン」と打ち鳴らし、ものも言わずに自分の部屋に帰ってしまいました。
 
それを見た新入生、進み出るとやはり太鼓を「ドン」と打ち鳴らし、くるりと振り向くと寮に帰ってしまいました。
 
新入生歓迎セレモニーを仕切るハズだった主任は、すかさず和尚のところに文句を言いに行きました。
 
「和尚!いったいなんなんですか、今のは!?
打ち合わせどおりにやってくれないと、私が困るじゃないですか!!
百歩譲って、太鼓を叩くのは、まぁ、和尚の役目だったのでよしとしましょう。
しかしなんでまた、新入生が叩くんですか!?
まったく、ワケがわかりませんよ!!・・・」
 
和尚は言いました。
 
「そうかそうか。
それでは明日、ワシがオマエのために取調べを実施してやるよ。
例の新入りに、ちゃんとメシを用意してやりなさい。」
 
次の日の食事の時間、その新入生が食堂に入ってくるのを見た和尚は、給食係の小僧に向かって、その新入りを指さしてみせました。
 
小僧が食事を持って新入生のところに運んでいくと、彼はニッコリと微笑むと小僧の頭をぐいっと撫でつけ、こう言いました。
 
「ほら、和尚さんが呼んでいるぞ!」
 
和尚は、それを聞くなり部屋に帰ってしまいました。
 
主任がふたたび和尚に文句を言いにやってきます。
 
「和尚!見ましたか、今のを!?
アイツ、またやってくれましたよ!!
昨日は昨日で勝手に和尚の太鼓を叩いちゃうし、今日は今日で取調べをしようとしたら小僧の頭を叩くなんて・・・
まったく、なんてヤツだ!!」
 
和尚は言いました。
 
「だが、オマエのための取調べは終了したぞ。」

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