東西の古典を、きわめて平易な現代語に訳出する試みです。
意によって大幅に構成を改編し、読みやすくするために潤色を施しています。
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updated 2023-01-25

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別訳【祖堂集】

祖堂集メモ(4)九峯和尚・法照和尚・丹霞和尚

2012.2.25

 
●九峯和尚
◆聖迷凡迷

問う、聖迷と凡迷とは如何んが弁ぜん。
師云く、聖迷は黒きこと漆の似く、凡迷は明るきこと日の似とし。
僧云く、聖迷は什摩と為てか黒きこと漆の似き。
師云く、道うを見ずや、亡僧面前と。
僧云く、凡迷は什摩と為てか明るきこと日の似き。
曰く、蓑結識する処多きが為なり。
僧云く、凡聖に落ちずして如何んが弁ぜん。
師云く、千万眼も到らず。

Q:「賢い人の悩みとバカヤロウの悩みは、いったいどう違うんでしょうかね?」
A:「賢い人の悩みは、ブラックホールのように真っ黒け、バカヤロウの悩みは、ホワイトホールのように真っ白けだ。」
Q:「・・・賢い人の悩みは、なんで真っ黒けなんですか?」
A:「坊主の死体に話しかけて、返事があると思うか?」
Q:「・・・それでは、なんでまた、バカヤロウの悩みは真っ白けなのでしょう?」
A:「何もかも、わかったつもりでいるからじゃよ。」
Q:「・・・そのどちらにもならないで済む方法はありませんかね?」
A:「それは、見ようとして見えるようなものではないよ。」
 
●法照和尚
◆枯木無花

問う、法雨普く潤すに、枯木は什摩と為てか花無き。
師云く、道うを見ずや、高原陸地と。
曰く、畢竟還た花を生ずる時有りや。
師云く、若し花を生ずれば則ち枯木と名付けざらん。
曰く、古人は什摩と為てか、枯木に一朶の花を生ずと道える。
師云く、蓑道え一人は言わず、一人は火向す、阿那个か無舌なる。

Q:「たっぷりと教養を溜め込んだ挙句に、鳴かず飛ばず・・・ これではまるで、いくら水分を与えても花の咲かない枯木のようではありませんか! いったい何故、そんなことになるのでしょうか?」
A:「標高三千メートル級の高山のてっぺんでは、滅多に花など咲かんよ。オマエさんだって、そのぐらい知っとるじゃろう?」
Q:「それじゃあ、もう二度と咲くことはないんですかね?」
A:「もし咲いたとしたら、それはまだ枯れていなかったということになるな。」
Q:「まあ、それは確かにそうですが・・・ しかし、それでは何故、「枯木に花が咲く」などということわざがあるのでしょうか?」
A:「何をまた、トボけたことを・・・「言葉では伝えられないものがある」と言ったヤツがおる。敢えて火の中に飛び込もうとするヤツがおる。・・・要するに、そう言わずにはおれなかったヤツがいた、というだけのことじゃよ。」
 
●丹霞和尚
◆木頭求舎利

師、天の寒きに遇い、木仏を焚きて以って禦ぐ次いで、主人惑いて叱る。
師云く、吾は荼毘して舎利を求む。
主人曰く、木頭に何か有らん。
師云く、若し然らば、何ぞ我を責めん。

ある寒い日、丹霞和尚は世話になっている家の仏壇に飾られていた木製の仏像を燃やして暖をとり始めました。
家の主人はそれを見て絶句し、そして怒り始めました。
主人:「あんたっ! 仏様を燃やしちゃうなんて、なんというバチあたりな!!」
丹霞:「いやいや、ワシはただ、仏様を火葬して遺骨を弔おうとしているだけじゃよ。」
主人:「トボけたこと言ってんじゃないよ! ただの木切れにそんなものあるわけないだろ!!」
丹霞:「なるほど、言われてみれば、確かにこれはただの木切れだ。ところで、オマエさんはいったい何をそんなにムキになって怒っているのじゃな?(笑)」

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