別訳【維摩経】
第24話 維摩の「人間観」
2007.2.25
文殊菩薩は維摩の言葉をさえぎってツッコミました。
「ちょっと待ってください!そもそもあなたは人間たちの存在を何だと思っているのですか?」
維摩は答えました。
「ん、何?ワシの「一般ピープル」に対する見解?
ふむ・・・例えるならこんな感じじゃな。
- マジシャンが自分のマジックを見物するようなものじゃ。
- 水に映った月を見るようなものじゃ。
- 鏡に映った自分の顔を見るようなものじゃ。
- 暑いときのかげろうのようなものじゃ。
- 響くこだまのようなものじゃ。
- 浮かぶ雲のようなものじゃ。
- 水のしぶきのようなものじゃ。
- 水に浮かんだ泡のようなものじゃ。
- イナズマの光のようなものじゃ。
- 「地、水、火、風」以外の元素のようなものじゃ。
- 「視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚」以外の感覚のようなものじゃ。
- 「視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚」から生じる5種の認識に「意識」を加えた6種以外の認識領域のようなものじゃ。
・・・どうじゃ、少しはピンときたかな?
もっと言うなら、こうじゃ。
- 一度火を通した穀物の芽のようなものじゃ。
- 生まれつき眼の見えない人が考える「色」のようなものじゃ。
- 飛ぶ鳥が空中に残した跡のようなものじゃ。
- 目覚めた時に覚えている「夢」のようなものじゃ。
- 煙の出ない火のようなものじゃ。
・・・まぁ、ワシは「その他大勢」の連中を、そのようなもんじゃと考えておるよ。」