別訳【維摩経】
第29話 天女、「究極の悟り」について語る
2007.3.6
シャーリプトラは言いました。
「あー・・・すみません、ちょっといいですか?
もしも貴女がここで死んだとしたなら、いったいどこに生まれ変わることになるのでしょうか?」
天女は答えました。
「どこに生まれ変わるか、ですって?
ブッダがサイキックパワーで作り出す人間たちと同じところに決まってるじゃない。(笑)」
シャーリプトラ:「いやいやいや!ちょっと待ってください。
ブッダがサイコパワーで作り出す人間たちは、基本的に不死です。
それと同時に、確か生まれることもなかったハズでは?」
天女:「そうよ。全ての一般大衆も同じことよ。死なないし、生まれないの。」
シャーリプトラ:「・・・。
えーと、話を変えさせてください。
貴女は既に、限りなく「究極の悟り」に近づいているように思えるのですが、いったいいつ、「究極の悟り」をゲットするのですか?」
天女:「うふふ・・・(笑)
それはね、シャーリプトラのお兄さんが、ただの凡人に戻ることができた時よ!」
シャーリプトラ:「私が「ただの凡人」になるなどということは有り得ません!絶対に!!(怒)」
天女:「そうよね。(笑)
私が「究極の悟り」を得る、なんていうのは、それと同じくらい有り得ないことなのよ。
「悟り」は決して同じ状態に長いこと留まっていたりはしないわ。
だから、「悟りを得た!」なんていう人がいたら、その人はウソつきなの。」