別訳【孟子】
離婁章句下34 なんちゅう情けない・・・
2007.8.10
昔、ワンルームに奥さんと2号さんと自分の3人で暮らしていたオッサンがいたそうな。
そのオッサンは、毎晩のように出歩いては飲んだくれて帰ってくる日常。
奥さんが「いったい何処へ入ってきたの?」とたずねても、「ハッハッハ・・・お大尽のところへさ!」などとというばかり。
ある日のこと、奥さんは2号さんに言いました。
「全くウチの人ときたら毎晩飲んだくれてばかりで・・・
いっつも「お大尽のところで飲んできた」とか言い張っているけど、今まで誰もそれらしい人が尋ねてきたこともないわよね?
・・・怪しいわ。
今度出かけたら、ちょっと後をつけてみましょう!」
さて、そんなこととは露知らず、いつものようにオッサンは出かけていきます。
奥さんは気づかれないようにずっと尾行していったのですが、オッサンはあちこちとブラブラするわりには、誰に話しかけられるわけでもなく、ついに町外れの墓場にたどり着いたのでした。
何をするのかと思って見ていると、なんとオッサンは墓守のオッサンに「お供え物」のおすそ分けをねだっているではありませんか!
で、ひとしきりお供え物を食い散らかすと、次の墓場に移動して、同じことを繰り返しています。
奥さんはすっかり情けない気持ちになって家に帰ると、2号さんに事情を説明して、2人で散々オッサンの悪口を言って泣きました。
さぁ、そこへ何も知らないオッサンがいつものようにゴキゲンで帰ってくると2人に言いました。
「へっへっへ。今日もまた、お大尽にたっぷりとご馳走になっちまったぜ!!」
・・・さぁ、この話をどう思う?
世間で「偉くなりたい!」とか「金持ちになりたい!」などと願って、あれこれと奮闘している人間を見る君子の目線は、まさにこのような感じなのですよ。