別訳【維摩経】
第48話 シャバのメリット
2007.12.1
それを聞いたアチラ側の菩薩たちは口をそろえて言いました。
「うわぁ、そこまでやりますか!もの凄いですね・・・
全知全能が仏さまの身上ですから、どんなやり方だってできるのでしょうに、わざわざ楽なやり方を捨ててまでガンコなバカものたちの相手をしてやるなんて・・・
また、あなたを始めとしたこちら側の世界の菩薩の皆さんも、実に根気強く頑張っておられるのですね!」
維摩は言いました。
「うむ、まったくじゃ。
ワシらもよく頑張っておると思うよ。
じゃがな、これだけは知っておいてくれたまえ。
このロクでもない、シャバ世界にはな、オマエさんたちの世界にはないものがあるのじゃ。
それがあることによって、こちら側での奉仕活動は、オマエさんたちの世界における50億年の10万倍の期間の活動よりも多い利益を生み出すことができるのじゃ。
「それ」とはいったい何か?
それはシャバ世界特有の「10種類の素晴らしい事柄」じゃ!
こればかりは、極楽浄土にも存在しない。
まさに、ここだけにしかないものじゃ。
「10種類の素晴らしい事柄」とは何か?
それは次のようなものじゃ。
- 「与える」ことで貧乏を克服する。
- 「ルールを守る」ことで犯罪を克服する。
- 「堪える」ことで怒りを克服する。
- 「働く」ことでグータラを克服する。
- 「落ち着く」ことで動揺を克服する。
- 「智慧を発揮する」ことで迷いを克服する。
- 「危険対策を講じる」ことで危機を克服する。
- 「大きな立場から物事をみる」ことで狭い料簡を克服する。
- 「真っ直ぐな心」で悪事を克服する。
- 「人に優しくする」ことで人格の完成を目指す。
どうじゃ、素晴らしいじゃろう?
これらが存在することがすなわち、シャバで暮らすことのメリットなのじゃ!」